核融合発電の日本の立ち位置について


2026年現在、日本企業の核融合サプライチェーンは、2024年に設立された「フュージョンエネルギー産業協議会(J-Fusion)」の活動を通じて体系化が進んでいます。

核融合の方式は、次の3方式、及び5つのカテゴリーの分類で評価される企業を個人の認識範囲で列記してみました。

  • トカマク型 : 1億度を超えるプラズマをドーナツ型の容器(トーラス)に磁場を発生させて閉じ込める方式。現在長期に渡りもっとも研究が進んでいる型式。
  • ヘリカル型 : 日本が得意とする型式で、磁場の形を複雑にねじったコイルそのもので作り出すため、電流を流さなくてもプラズマを閉じ込めることができます。岐阜県土岐市にある「大型ヘリカル装置(LHD)」は世界最大級のヘリカル装置で、安定した長時間運転の実験を成功。
  • レーザー方式 : 磁場ではなく、レーザーで燃料を圧縮する方法です。直径数ミリの燃料ペレット(重水素と三重水素の混合体)に数百本の高出力レーザーを一斉に照射し、一瞬で1億度以上に加熱して融合反応を起こしますが、連続運転に難があります。

1. 炉本体、プラントのエンジニアリング

核融合炉の中心部やシステム全体を統合。

・重工、エンジニアリング部門 : 三菱重工業日立製作所東芝IHI日揮HDなどが該当。ITERの真空容器や超伝導コイル、原型炉の設計・建設を担当。

・スタートアップ : 京都フュージョニアリング(ジャイロトロン等)、EX-Fusion(レーザー方式)などが、特定の基幹技術で世界的に注目。 

2. 素材、高度部材

核融合炉の過酷な環境(超高温、極低温、中性子照射)に耐える特殊材料。

・超伝導線材部門 : フジクラ古河電気工業住友電気工業が世界規模で牽引。

・特殊素材部門 : 東洋炭素(受熱器用炭素材料)、大同特殊鋼(特殊合金)、日本製鋼所(大型鍛鋼品)が高いシェア。

3. 周辺機器、サブシステム

炉を動かすための真空技術、冷却システム、計測機器。

・計測、レーザー関係 : 浜松ホトニクス(光センサー・レーザー)、キヤノン電子管デバイス(マイクロ波発生源)。

・真空装置、熱交換装置 : 木村化工機荏原製作所が該当。特殊な冷却や真空保持技術を提供。

4. エネルギー供給、インフラ

発電した電力の送電や、運転に必要な電力供給、物流。

・電力、エネルギー部門 : 関西電力JERAINPEXが、事業主体や技術実証パートナーとして参画。

・海運、建設関係 : 商船三井(大型コンポーネント輸送)、鹿島建設(遮蔽構造物の建設)。

5. 金融、情報

開発資金の供給や、プロジェクト管理、知的財産戦略を補完。

・金融、投資関係 : 三菱商事三井物産などの商社、三井住友銀行日本政策投資銀行が海外スタートアップへの出資や市場形成を主導。

・通信・IT部門 : NTTが、デジタルツイン技術(IoTを用いたデータに基づきサイバー空間に双子をつくる技術)を使った炉の制御やシミュレーション分野で連携強化。 

日本は、投資額についての指摘が多いが、個別技術においては優位な分野が多く、これらの全領域において世界で数少ない「一気通貫のサプライチェーン構成が可能な国」という立ち位置にあります。